巫 詩乃の日常。

カンナギシノと申します。もちろん偽名です。日常のあれやこれやを綴っていきます。小説と音楽、あと映画とビリーズブートキャンプとブートキャンプ内の前向きな声かけが好きです。あと無印良品と…。

「四月になれば彼女は」読みました。全ての人に読んでもらいたい。”愛”とはなにか。

 

はじめに

近所にある書店にて全体的に色素が薄く儚さを感じさせられる、今にも消えてしまいそうな表紙に惹かれた。

『恋人が不治の病に冒され、余命は数ヶ月ー

最愛の彼女と過ごす余生が綴られ、彼女が最期に残したものとは…』

のような感動ものだろうと予想し

「お、最近ミステリー系ばかり読んでこういうの読んでないんだよなー」

とか思いながら軽い気持ちで購入。

 

小説家の川村元気さんの小説を読むのは初めてでワクワクしながら帰路についた。

 

読み終えた今、購入前とは一変して強い孤独感に苛まれている。

号泣した後に

「頑張って生きよう」

とか

「私もこんな恋愛できるように自分を磨こう」

だとかそんな前向きな気持ちにはなれなかった。(なるつもりだった)

 

強い孤独が残り、胸がえぐられるようだ。

しかしこの本は是非沢山の人に読んでもらいたい。

”愛すること”を考え直させられる一冊。

 

あらすじ 

四月、精神科医の藤代のもとに手紙が届く。

それは大学時代の初めての恋人、ハルからのものだった。

現在の藤代は1年後に結婚を控えており、弥生という婚約者がいる。

しかし藤代と弥生との愛は冷えかかっていた。

恋も愛も儚く、時が経つと確かにそこにあったものが嘘のように消えてしまう。

愛しているのかわからない恋人との婚約。

失った恋、元恋人からの突然の手紙に翻弄される十二ヶ月が始まるー

 

感想…

何故人は人を愛し、愛すことを怠ってしまうのか…

きっと皆がもってる永遠のテーマだと思う。

「人を愛すること」を人はやめない。人との関わりがある限りやめられないのだ。

恋人がいた、もしくは恋人はいるが少し冷めてきている方。

心の中で思い出してほしい。

あの頃は紛れもなく

恋人同士の間に愛は”あった”だろう。

 

あの人と付き合えたら…と妄想に耽る夜。

返事がくるまでの不安さ、携帯のディスプレイが光ったときの高揚感。

喧嘩し振られるかもしれないという焦燥感に駆られ

仲直りした日には、恋人の胸のなかで

「やっぱりこの人じゃないと駄目だ」と

いつもと変わらない安心する匂いに包まれ、幸せを感じながら瞼を閉じる。

自分より大切なひとがいることに喜びを感じ

あなたといるだけで何も恐くない、あなたがいれば全てうまくいく。

この先離れることなんかあるはずがないと思ったり。

 

 

しかし、悲しいことに永遠なんてものは約束されていない。

だから今のあなたがいる。私がいる。

 

人は皆、愛されたい

人に愛され、人を愛する。

これは間違いなく皆の理想像だ。

そして恋人と誰もが

愛し愛されたことがあるんじゃないだろうか。

そしてそのひとときはとても幸せで儚いものだったのではないだろうか。

 

愛することと愛されたいことを天秤にかけると

最初は水平だったのに

いつしか愛されたい思いが強くなり

重くなり天秤は傾いていく。

 

一見、愛のある行動に見え、

愛されるために愛するようになる。

損得なんか考えず相手のことを想い、ただただ愛情を注ぐ

それで本人が幸せであるとすれば本物の愛なんだろう。

しかし

「何故自分ばかりが…。」

「こんなに愛してるのに愛が返ってこない」

と不平不満が募る、そうするとそれはもう純愛ではなく

”愛されたい為に愛している”ことになってしまう。

 

『相手の気持ちにちょっとでも欠けているところがあると、

愛情が足りない証拠だと思い込む。

男性も女性も、自分の優しい行動や異性に気に入られたいという願望を、

本物の愛と混同しているんです。

本物ならば、もっと不恰好で不器用に表現されるはずです。(p210より)』

 

色んな人間がいる、色んな性格がある。

様々に価値観がある。考えれば分かる。

愛し方は人によって違う、そこに差があると不安が生じてしまう。

 

人を愛し続けたいなら

どちらかが相手の愛し方を認め、受け入れる他ないのだ。

だから、人を愛することはかなり疲れる。

 

 

けれど、それ以上に愛することは幸せだ。

 

終わりに

イムリーだ。まさに今悩んでいることだった為にかなり感情移入してしまった。

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本当にもう少し早く読んでいたかった。

 

恋人がいない人、恋人と今愛し合っている人

恋人と今愛が冷めてきた人、冷められたかもと思い悩んでいる人

結婚している人、離婚してしまった人。

全ての人に読んでほしいです。

 

今あなたに愛する人がいて、

その人があなたのことを愛してくれることを願っています。

 

ここまで読んで頂きありがとうございました。